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更新日:2025年2月3日
令和6年度定例会2月議会の初日である2月3日、山本区長が令和7年度の区政運営に対する基本的な考え方を示した施政方針説明を行いました。
はじめに
令和6年度定例会2月議会の開会に当たり、令和7年度の施政の方針を申し述べます。
私が区長に就任してから、まもなく10年となります。この間、国内外の環境変化により、緊急的なものを含め、様々な課題へと対応してきましたが、区議会をはじめ、多くの区民の皆さんのご理解とご協力をいただきながら、新型コロナウイルス感染症への対応、子育て環境の徹底整備や、大学誘致の実現など、着実に区政を進めてきました。
昨年には、本所・向島の両保健センターを統合した、子育て・教育機能を併せ持つ複合施設、すみだ保健子育て総合センターを開設しました。来月には、隅田公園第二期再整備の完了や、地域の皆さんの積年の悲願であった東武伊勢崎線の立体化、第2号踏切の除却を予定しています。
区政へのご協力に改めて感謝を申し上げ、引き続き真摯に区政運営に取り組んでいきます。
令和7年度 区政運営の基本的な考え方
最初に、令和7年度の区政運営の基本的な考え方についてです。
来年度は、20年ぶりに新たな基本構想を定め、区民をはじめとした多様な主体とともに、本区の強みである「人と人とのつながり」を基軸に、次のステージへと歩みを進めていく1年となります。区内で暮らす、働く一人ひとりが未来を見据え、前向きに行動していくことを後押しするため、区民の命とくらしを守る災害に強いまちづくりや、ウェルビーイングにつながる誰もが「しあわせ」を感じられるまちづくりが重要であると考えています。
そこで、「夢と希望を未来につなぐ、強くしなやかなまちづくり」、「“夢”実現プロジェクトの推進による持続可能な“すみだ”の実現」、「利便性を高めつつ利用者の心に寄り添う、誰一人取り残さない行政サービスの改革」という、3つの柱に沿って区政を運営していきます。
これに向けて、「最終年度を迎える基本計画に掲げる各施策の“めざす姿”の実現に向けた総仕上げ」と、「政策効果を最大限に高める組織・分野を超えた協力、様々な主体との連携」、「必要な時、必要な人に、必要な情報が伝わる戦略的な広報」や、「デジタル技術の積極的な活用によるあらゆる分野でのDXの推進」、さらに、「今後の行政需要や経済情勢の変化を想定した、エビデンスに基づく政策立案」という5つの点を念頭に、来年度予算を取りまとめました。
区財政を取り巻く状況
次に、本区の財政を取り巻く状況についてです。
まず、景気の動向と、国や都の予算についてです。
政府は、令和7年度の経済見通しにおいて、国の総合経済対策の効果が下支えとなって、賃金上昇が物価上昇を上回り、個人消費が増加するとともに、企業の設備投資も堅調な動きが継続するなど、引き続き、民間需要主導の経済成長となることが期待されるとして、実質GDP成長率は1.2%程度、名目GDP成長率は2.7%程度、また、消費者物価については、2.0%程度の上昇になると見込んでいます。
このような状況において、国の予算は、「「賃上げと投資がけん引する成長型経済」へ移行するための予算」として、一般会計の総額が115兆5,415億円と、3年連続で110兆円を超える予算となっています。
また、都の予算は、「不確実性が高まる社会情勢の中、「成長」と「成熟」が両立した持続可能な都市の実現に向けて、全ての人が輝く東京の未来を切り拓く予算」として編成され、一般会計予算規模は、前年度比8.3%増の9兆1,580億円で、過去最大となっています。
こうした中、本区では、今年度、定額減税の影響があったものの、納税義務者数の増加に伴い、引き続き特別区民税の増収傾向が続いています。特別区交付金の増収も相まって、来年度においても、歳入状況は堅調に推移すると見込んでいます。
歳出面においては、多様化する行政ニーズへの積極的な対応を行ったほか、長引く物価高騰等の影響もあって、今年度を上回る規模となっています。
しかしながら、公共施設の建替えを含め、今後想定される行政需要の増加に対応していくためにも、更なる行財政改革を進めることで、区政の重要課題に対し優先的に財源を投入しながら、一層の財政基盤の強化に取組みます。
令和7年度予算案の位置付け・規模
こうしたことを踏まえ、令和7年度予算案は、「『人』に寄り添い 笑顔が輝く すみだの未来をデザインする予算」と位置付けて編成しました。
各会計の予算規模は、一般会計が1,430億1,900万円で、前年度と比べて57億5,400万円、4.2%の増、国民健康保険特別会計が269億2,900万円で4.2%の減、介護保険特別会計が238億1,600万円で2.0%の増、後期高齢者医療特別会計が71億6,100万円で2.7%の増となり、特別会計を含む予算総額は、2,009億2,500万円、対前年度比52億1,400万円、2.7%の増で、過去最大の予算規模となっています。
次に、一般会計の歳入歳出予算の主な増減についてご説明します。
まず、歳入ですが、特別区税全体では、対前年度比19億1,900万円、6.5%増の314億5,800万円を計上しており、そのうち特別区民税は、納税義務者数の増等を見込み、対前年度比21億5,500万円、8.0%増の291億2,000万円を計上しました。
また、特別区交付金は、前年度より23億8,900万円増の468億1,600万円、基金からの繰入金は、約31億8,200万円減の約19億8,400万円、特別区債については、14億8,700万円減の約16億2,200万円を、それぞれ計上しています。
次に、歳出についてです。
民生費は、学童クラブ事業の充実や、文花児童館の建設事業などの経費の増等により、4.3%増の約747億9,300万円となり、一般会計予算額の約52%を占めています。
教育費は、八広小学校の校舎等改築事業や、校外学習等事業、修学旅行補助事業、学校給食費保護者負担軽減事業などの経費の増等により、3.1%増の約141億4,900万円となっています。
土木費は、東武伊勢崎線(とうきょうスカイツリー駅付近)立体化事業や、道路バリアフリー整備事業などの経費の増等により、3.5%増の約143億7,000万円、これらの3分野で、一般会計予算額の約72%を占めています。
また、総務費は、庁舎1・2階及びすみだリバーサイドホールの改修工事費などを計上し、23.4%増の約132億7,700万円となっています。
令和7年度の主要な事業
次に、予算を重点的に配分した主要な事業について、述べさせていただきます。
大規模災害への備えの強化
1点目は、大規模災害への備えの強化です。
昨年の能登半島地震等の教訓を踏まえ、燃えない、壊れない強靭なまちづくりを実現するため、耐震診断の助成を拡充するとともに、木密地域不燃化プロジェクトの推進や、耐震改修促進計画の改定などにより、不燃化・耐震化を促進していきます。道路や橋りょうの補修・撤去・架け替え等を着実に進めるほか、空き家実態調査の実施、マンション適正管理の支援等により、将来的なリスクの把握、低減に努めます。
災害対応力の強化として、災害備蓄倉庫の管理システムや、避難行動要支援者の台帳管理システムを導入するなど、災害DXを推進するとともに、町会・自治会会館への防災備品購入を支援するほか、ペット同行避難支援キットを全指定避難所に配置します。また、災害医療に関連する物品購入や、研修実施に取組む関係団体を支援し、災害時医療体制の強化を図ります。加えて、発災後、早期の復興・復旧を図るため、地籍調査基準点の再整備に取組みます。
気候変動対策では、環境にやさしい持続可能な「すみだ」の実現に向け、「第三次すみだ環境の共創プラン」を策定します。また、地球温暖化対策助成事業の拡充、学校施設を含む公共施設の照明LED化を推進するほか、雨水ネットワーク全国大会の成果を踏まえ、雨水浸透施設の設置についても助成を新設するなど、雨水利用の促進を図ります。
区民の「しあわせ」を支える取組
2点目は、区民の「しあわせ」を支える取組です。
すみだ保健子育て総合センターの開設を契機に、区民の健康づくりの一層の推進を図るとともに、「こどもまんなか すみだ」の実現に向け、今定例議会に提案しているこども条例の理念を踏まえつつ、こども計画に掲げる施策を展開し、子育て支援施策を充実させます。
保護者の不安に寄り添って、こどもの発達特性に応じた適切な支援を行い、円滑な就学へとつなげていくため、新たに5歳児健康相談を開始します。今年度に引き続き、こどもわくわくフェスティバルを開催するほか、民間団体と連携し、こどもの体験機会の確保に取組みます。
子育て世帯の負担軽減を図るとともに、集団活動を通じたより良い人間関係の形成など、こどもたちの健やかな成長を支援するため、来年度から区立の小学校6年生の日光移動教室、中学校3年生の修学旅行を無償化します。また、小中学校の給食費に係る保護者負担の軽減を継続しつつ、食育を通じた幼児教育の充実を図るため、幼稚園に通うこどもを育てる家庭にも支援を行うほか、国・都の補助を活用しながら、産後ケア事業におけるさらなる利用者負担の軽減を図ります。
加えて、多様な子育てニーズに応えられるよう、新たにベビーシッター利用支援事業を開始するほか、区北部への病児保育施設整備の検討を進めます。
高齢者の健康を守るため、引き続き健康に関するデータ分析やフレイル・介護予防に取組むとともに、認知症の早期発見に向けた検診事業を開始します。また、障害のある方の地域における生活を支援するため、地域活動支援センターの整備を行います。
このほか、公民学の連携では、リビングラボ墨田を拠点とした地域課題の解決に向けた共同研究や、民間事業者との連携によるSDGsの普及啓発、ネットワークづくりに取組みます。
また、今年、終戦から80年の節目を迎えることから、戦災の大禍を経験し、平和を希求する本区として、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝える平和祈念事業を実施します。
社会の変革、技術の進展を踏まえたDXの更なる加速
3点目は、社会の変革、技術の進展を踏まえたDXの更なる加速です。
区民サービスの向上を図るため、特に利用が多い、需要の高い行政手続きについて、オンライン化を徹底して推進します。また、粗大ごみ処理手数料の支払いにキャッシュレス決済を導入するほか、eLTAXの活用による公金収納のデジタル化を検討します。さらには、国におけるアナログ規制改革に関する動きを踏まえ、本区の条例等の規定を点検し、行政手続きの更なるデジタル化を進めていきます。
業務の効率化では、システム標準化や全庁情報インフラ基盤の再構築などに着実に取組むほか、行政が保有するデータの可視化、RPAの更なる活用、介護認定事務や公園管理事務におけるDXなどを推し進めていきます。
“夢”実現プロジェクト1『暮らし続けたいまち』の実現
次に、“夢”実現プロジェクト1の『暮らし続けたいまち』の実現です。
「切れ目ない子育て支援・環境を充実させ、笑顔があふれるまちづくり」のうち、1点目は、「子ども・子育て支援が徹底整備されたまちづくり」です。
妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援として、バースデーサポート事業を含む出産・子育て応援事業や、伴走型相談支援などに引き続き取組みます。こども家庭センターの運営や、都児童相談所との連携強化による児童虐待未然防止の推進等、すみだ保健子育て総合センターを拠点に、子どもを安心して産み育てられる環境づくりを進めていきます。
また、保育における安心・安全な環境をつくるため、保育施設等に対する指導検査の強化に向け、新たに組織を設置するほか、午睡時における体制の整備、研修の充実など、保育の質の向上を図ります。
加えて、公立保育園における障がい児対応の職員配置基準を見直すほか、児童館の改築・改修を進めるとともに、学童クラブ事業の充実に向け、小学校の特別教室等のタイムシェアや、私立学童クラブへの支援拡充に取組みます。
2点目は、「知・徳・体の充実を図る教育による将来のすみだを担うひとづくり」です。
GIGAスクール構想を着実に推進し、子どもたち一人ひとりに個別最適化された創造性を育む教育の実現を図るとともに、新しい英語学習コンテンツの導入など、学力向上「新すみだプラン」を推進し、児童・生徒が意欲をもって学び、協働的に課題解決できる確かな学力を育んでいきます。
また、部活動における外部人材の更なる活用や、学校経営アドバイザーの設置などに取組み、教職員の働き方改革を推進します。
このほか、ひとり親家庭等のこどもへの生活・学習支援の実施、子ども食堂に対する支援の拡充など、こどもの未来を応援する取組を充実させることに加え、教育委員会と連携し、闇バイト対策を推進していきます。
学校施設については、小中学校の改築基本方針や、長寿命化計画を踏まえ、二葉小学校の屋内運動場や八広小学校の改築・改修に取組むとともに、次期基本計画の策定に合わせ、学校施設の具体的な改築スケジュールの検討を進めます。
3点目は、「緑豊かな公園など、子育てや交流しやすい住環境づくり」です。
子育て世帯等の定住促進を図るため、引き続き住宅取得の支援に取組むほか、良質な集合住宅認定制度の見直しを行います。
また、大横川親水公園のインクルーシブ広場整備や隅田公園の第三期再整備に向けた基本設計など、公園整備を進め、子育てしやすい環境づくりに取組みます。
次に、「地域力日本一の、住んでいてよかったまちづくり」のうち、1点目の「災害に強い安全・安心なまちづくり」です。
鐘ヶ淵・京島・北部中央地区における密集市街地整備のほか、東武伊勢崎線(とうきょうスカイツリー駅付近)立体化事業や北側周辺まちづくりをはじめ、隅田川沿川地区、曳舟駅周辺地区まちづくりなどに着実に取組み、まちの安全性を高めていきます。また、防災対策の推進等、都との連携による公有地活用を図るため、旧向島中学校校舎の解体に着手します。
2点目は、「誰もが安心して暮らし続けられるまちづくり」です。
包括的支援体制の整備事業を推進し、地域福祉プラットフォームを増設するなど、重層的なセーフティネットの強化を図るほか、孤独・孤立対策を推進するため、ひきこもり相談窓口の拠点を整備します。
さらに、バリアフリー基本構想を策定し、誰もが自由に出かけられるまちづくりを進めるとともに、旧立花中学校跡地を活用した特別養護老人ホームや、重度障がい者グループホーム、地域密着型サービスの整備を支援するなど、住み慣れた地域で安心して暮らせる施策の充実を図ります。
また、がん対策推進計画に基づいて、若年のがん患者への支援を含む、総合的ながん対策を推進するほか、受動喫煙防止を促進するため、公衆喫煙所に関する助成の対象を拡大します。さらには、スポーツの機運を高めるため、ランニングイベントを実施するなど、区民の健康づくり、健康寿命の延伸につなげていきます。
そのほか、民泊施設に対する調査監視指導を強化するため、調査員を設置するとともに、条例制定を含めた対策の検討を進めます。また、新たに助成制度を設けて、民間自転車駐車場の整備を誘導するほか、地域公共交通計画を推進し、地域主体型グリーンスローモビリティの実証運行や公共交通マップの作製に取組みます。
3点目は、「地域力を高めるコミュニティとひとづくり」です。
町会・自治会活動へ、引き続き支援を行うとともに、地域力育成・支援計画の改定に向けて実態調査を行うなど、地域力の向上、協治(ガバナンス)のまちづくりを推進します。
4点目は、大学のあるまちづくりの推進です。
千葉大学・情報経営イノベーション専門職大学と連携し、区政課題の解決に向け、「福祉」「環境」「交通」などの様々な分野で事業を展開していくとともに、レイクランド大学と連携した通学型イングリッシュキャンプも継続して実施します。
「UDCすみだ」との連携では、地域の活性化に向け、様々な情報発信や、キャンパスコモン等の公共空間を活用した賑わいの創出に取組みます。
“夢”実現プロジェクト2『働き続けたいまち』の実現
次に、プロジェクト2の『働き続けたいまち』の実現です。
1点目は、「多様な産業の集積から、つながりが生まれるまちづくり」です。
すみだビジネスサポートセンターの運営を通じて、引き続き、区内中小企業の経営を支援するほか、合同企業説明会、交流会の実施や、プロモーションのサポートなど、人材確保に向けた支援を拡充します。また、物価・エネルギー価格の高騰を踏まえ、生産性の向上に資する機器導入補助事業を継続するとともに、地方創生臨時交付金を活用し、区内中小企業のDX推進を支援していきます。
加えて、「SUMIDA INNOVATION CORE」を中心にスタートアップ企業と区内ものづくり企業の共創を支援するとともに、工房サテライト事業を拡充し、製品開発支援や実証実験支援を行うなど、産業集積のアップデートの推進を図ります。
また、商業活性化への取組では、区内の消費喚起と商店街の活性化を図るため、デジタル決済促進支援事業を、規模を拡充して実施するほか、地域力を育む商業空間づくりや商店街チャレンジ戦略支援を引き続き推進します。
2点目は、「ワーク・ライフ・バランスを実現し、性別に関わらず誰もが輝き、活躍できるまちづくり」です。
女性活躍・働き方改革アドバイザーの派遣など、ワーク・ライフ・バランスの普及啓発に取組むほか、すみだ共生社会推進センターを拠点とし、男女共同参画や、パートナーシップ宣誓制度をはじめとした様々な施策を推進します。また、配偶者暴力相談支援センター機能の整備に向けて、新たに男性向けの相談窓口を開設します。
3点目は、「夢をかなえたい若者や、年齢や障害の有無に関わらず誰もが活躍できるまちづくり」です。
就職相談事業の充実やハローワークとの連携を図り、就労支援・区内事業者の雇用促進に向けた取組を進めていきます。また、シルバー人材センターの運営支援や障害者就労支援総合センターの計画相談事業などの取組を通して、高齢者・障害者への支援を行っていきます。
“夢”実現プロジェクト3『訪れたいまち』の実現
次に、プロジェクト3の『訪れたいまち』の実現です。
1点目は、「誰もが安心してまち歩きを楽しめる国際的なまちづくり」です。
観光協会や民間事業者と連携し、北十間川・隅田公園観光回遊路における公共空間を活用した賑わい創出や舟運の活性化に取組みます。また、江東内部河川の整備を引き続き進め、テラスの公園化も含め、水辺空間を生かした回遊性の更なる向上に取組みます。
特色ある観光資源の開発・発信として、多くの観光資源が集中する両国エリアにおいては、江戸東京博物館のリニューアルオープンが予定されており、その機会を捉えつつ、都をはじめ、関係団体と連携しながら、地域全体で江戸文化の発信に取組んでいきます。
さらに、令和8年度に開催する総合的芸術祭に向けて、来月、実行委員会を立上げ、広報やプレイベントの実施等、準備作業を着実に進めるとともに、「隅田川 森羅万象 墨に夢」プロジェクトとの連動を図り、区民にも文化芸術を身近に感じていただきながら、本区の魅力発信に努めていきます。
2点目は、「ビジネスなどの活動で関わる人を増やす関係人口づくり」です。
「ハードウェア・スタートアップ拠点構想事業」、「地域ブランド戦略」を軸に、区内産業の魅力を広く内外に発信するとともに、事業者が有する優れたものづくりを支援することで、本区に関わり続けたいと考える関係人口の創出に努めるほか、地域と連携してMICE誘致を推進します。
加えて、官民連携による両国駅周辺地区まちづくりを着実に推進するとともに、地下鉄有楽町線の延伸等を見据えた錦糸町駅周辺地区まちづくりの検討を進めていきます。
3点目は、「ものづくり・歴史・文化を活かした誘客の仕組みづくり」です。
観光地域づくり法人(DMO)への支援を通じて、地域のつながりを生かした観光の活性化に取組むとともに、外国人観光客向けの回遊促進イベントの実施など、増加しているインバウンド需要の区内への取込を図ります。
北斎プロモーションの展開では、引き続き、国内外へ向け、「北斎のまちすみだ」のPRに取組んでいきます。
また、トリフォニーホールを核とする音楽事業では、フランチャイズ・オーケストラである新日本フィルハーモニー交響楽団と連携しながら、多世代の方が音楽文化に触れることのできる環境づくりを進めます。
シティプロモーション戦略の推進
これら3つのプロジェクトを効果的に展開するため、シティプロモーション戦略を推進し、区民の地域に対する愛着と誇り・シビックプライドの更なる醸成、各主体による「まちの魅力の伝え合いの好循環」を創出していきます。
また、国内外の地域交流の促進を図るため、スポーツを通じた都市間交流を進めます。
加えて、区民と区の信頼関係が一層高まるよう、第3期シティプロモーション戦略の策定を進めるとともに、職員の広報マインドの向上を図ることで、“すみだの夢”実現プロジェクトを推進します。
行財政改革の推進
次に、行財政改革についてです。
持続可能な行政基盤の確立に向け、「行財政改革・行政情報化計画」や「第3次公共施設マネジメント実行計画」に基づいて、事務事業の見直しや改善の取組を進めるほか、公共施設の包括管理や隅田公園への指定管理者制度の導入など、民間活力の活用を積極的に進めていきます。
あわせて、施設保有総量の圧縮、施設の長寿命化、未利用公有地の利活用など、計画的にファシリティマネジメントに取組むとともに、データ分析等を通じて区政の課題を的確に捉えつつ、行政として担うべき業務の「選択と集中」をより一層進めます。
加えて、総合的人事戦略に基づく取組として、採用PR動画の作成、職員の資格取得支援、カスタマーハラスメント対策などに取組んでいきます。
歳入の確保では、区民税・国民健康保険料等の徴収率の向上の取組や、効率的・効果的な公金運用など、引き続き自主財源の確保に努めます。
そのほか、ゼロ予算での事業や、「区民が主役の窓口」の推進など、区民の利便性向上のための取組を進めます。
結びに
結びになりますが、景気は緩やかな回復傾向がみられるものの、長引く物価高騰により、区民や事業者を取り巻く状況は、厳しさが続いていると認識しています。引き続き、地域の声を伺い、丁寧に寄り添いながら、区民生活の向上に資する施策や、事業者の実態に即した効果的な支援など、きめ細やかな取組を進めていきます。
私は、すみだの「人」がつむぐ「地域力」が、まちをさらに発展させていく原動力であると考え、“夢”実現プロジェクトを掲げる現基本計画を策定し、区政を進めてきました。この10年間の中で、地域力のすそ野が広がり、地域と行政が手を取り合いながら課題の解決に取組んでいく、基盤・土台が整ってきたと実感しています。
現在、新しい基本構想の策定を進めているところですが、未来を描いていく中でも、改めて、すみだは「人」が財産であると考えています。
デジタル社会が進展する新しい時代においても、まちの発展、更なる飛躍に向けて、すみだらしい「人と人とのつながり」を大切に、「人」に寄り添い、区民の笑顔を守りながら、区議会をはじめ、地域の皆様と共に、次世代に引き継ぐまちの未来を創り上げていきます。
以上、私の令和7年度施政方針の考え方を述べさせていただきました。区議会の皆様におかれましては、今回提案しております各議案について、それぞれ適切なるご決定を賜りますよう、併せてお願い申し上げます。
ご清聴、ありがとうございました。
(注)本文は、口述筆記ではありません。表現等について、若干の変更のある部分があり得ますので、御了承願います。
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