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江戸表具の技 前川八十治の世界

ページID:542719966

更新日:2007年2月20日

開催期間:平成12年1月22日(土曜日)から2月15日(火曜日)まで

表具の歴史

 表具は、仏教の伝来と共に経典の表装技術として伝わったと考えられています。以後、床の間の発生や茶道の興隆により需要が増え、江戸時代には上流社会の必需品となっていきました。その技術は、軸装を主とし、襖、天井、画帖、壁、屏風などの装丁や修復など幅広い技能を要求されます。そして、すべてが依頼主の注文に応じて一点ずつ製作され、伝統的な色目使いを重んじた格調高い取り合わせを基調としています。

墨田区の表装職人

 墨田区における表装職人は、明治・大正期には本所、特に両国・千歳周辺に多くいました。しかし、第二次世界大戦で表装業界は道具の調達が不可能となり壊滅状態に陥ちいりました。戦後、表装職人は激減し、現在はわずか数人となっています。
表装の技術は、非常に幅広いものであり、一つの分野での技術の習得に10年以上かかるといわれ、ゆえに技術の伝承が非常に困難な職業といえます。

前川八十治さん・治さんの技

 前川八十治さんは、父弥太郎氏の代から墨田区に在住し、表具の仕事を始めて以来、49年間、その技術は高い評価を得ており、平成11年には、墨田区登録無形文化財に認定されました。前川さんの仕事の中でも、特に歌舞伎の隈取りの表装は前川さんの代名詞ともいえる仕事です。
また、後継者・治さんと共に仕事に当たり、技術の伝承にも努めています。

 今回の展示では、日頃見ることのできない表具の仕事や表装された歌舞伎の隈取りを通して、前川八十治さんに伝えられた技術を紹介し、前川さんの技術の集大成である作品や道具を展示することによって、現在、忘れられつつある表具の技術を紹介しました。

表具とは

 表具とは、布や紙を貼って、巻物・掛物・書画帖・屏風・襖などに作り上げることをいい、表装または装こうともいいます。
 表具をする職人さんを表具師といいますが、経師といわれる場合もあります。今日では、表具師と経師は同じ仕事をさしますが、かつては別々の職業でした。経師というのは「三蔵の中の経蔵に通暁した人・経巻の書写を業とした人・経巻の表具をする職人・書画の幅または屏風・襖などを表具する職人」という意味があり、仏教のお経を扱う人々のことをいっていました。
 今日、表装という言葉は、昭和41年に技能検定が実施されたときに労働省などと業界が相図り、「紙、布、のりを使用して、つくり上げてゆく張り作業行為」と意味づけられました。
 そして、表具という場合、表装という意味で使われる場合と、表具・壁装を合わせて表装として使用される場合があります。
 また表具は、平成元年に東京都から「江戸表具」として「伝統工芸品」に指定されました。

期間中の実演会 終了しました

講師:前川八十治さん・治さん
とき:平成12年2月5日(土曜日)、
午後2時か午後4時
・当日は大盛況でした。

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このページはすみだ郷土文化資料館が担当しています。