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更新日:2025年7月28日
登録日
令和7年7月24日
概要
総高 53センチメートル 像高35.1センチメートル
多聞寺の本堂向かって左の間に安置される地蔵菩薩立像です。左手に宝珠を捧げ、右手に錫杖を執り、玉眼(ぎょくがん)をはめ入れ、錆地黒漆塗の上に白土地彩色・切金文様を施します。
構造は割矧造(わりはぎづくり)です。頭・体幹部を通して一材より彫出して、耳後で前後に割り矧(は)ぎ、頭部はさらに耳前で割り矧ぎ、内刳りの後、三道下で割首します。
本像の制作年代及び制作者は、両足ほぞの墨書銘から延応元年(1239)に法橋快勢が制作したことが判明しました。快勢の作例には、文永元年(1264)銘の木造千手観音立像(東京都青梅市観音寺、国重要文化財)が知られますが、本像は制作年代を四半世紀さかのぼります。
本像の顔立ち、体勢の作り方、衣文表現は、大阪・藤田美術館所蔵木造地蔵菩薩立像(国重要文化財)等の快慶作例に通じるところがあります。全体のバランスがよく整い、右足を斜めに軽く踏み出した体勢は安定感があります。
もとは能満院(奈良県桜井市)にありましたが、安政5年(1858)に多聞寺にもたらされました。
本像は制作当初から区内に所在した仏像ではありませんが、銘文から鎌倉時代の造立年と作者が判明し、優れた作風をもつ鎌倉時代前期の作例として貴重な存在です。
多聞寺の地蔵菩薩像 正面
左足ほぞ墨書から作者が法橋快勢であることがわかります
右足ほぞ墨書から延応元年(1239)に制作されたことが分かります。
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