令和8年1月号

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更新日:2026年1月5日

今月号のすみエコの執筆者は、牛久委員(寺島・玉ノ井まちづくり協議会)です。
テーマは、環境緑化は「食」につながり、暮らしと幸福感を育てるです。

【環境緑化は「食」につながる】

環境緑化という言葉から、どんな風景を思い浮かべるだろうか。
街路樹や公園、屋上緑化。多くの場合、緑化は「見るもの」「守るもの」として語られてきた。しかし近年、緑化がもう一歩踏み込み、「食」へとつながる動きが各地で広がっている。

その代表例が、コミュニティ農園だ。

空き地や公園の一角、学校や福祉施設の敷地などに設けられた小さな畑。そこでは野菜や果樹が育てられ、地域の人々が世代や立場を越えて関わる。これは単なる都市農業ではない。「生きた緑化」とも言える存在だ。

土に触れ、種をまき、芽が出るのを待ち、収穫する。この一連の体験は、食べ物がどこから来るのかを身体で理解させてくれる。スーパーで並ぶ野菜とは違い、自分たちの手で育てた作物には、時間と手間、そして自然のリズムが刻まれている。
そして、この「食」は栄養を摂る以上の価値をもたらす。
収穫した野菜を分け合うとき、自然と会話が生まれる。
子どもは大人から教わり、高齢者は経験を生かし、互いに役割を持つ。
誰かに必要とされる感覚、季節を感じる暮らし、土の匂いを知る日常。

家族が野菜を囲んでいる様子

近年の研究でも、コミュニティ農園は食料アクセスの向上だけでなく、心身の健康、社会的つながり、幸福感の向上に寄与すると報告されている。孤立しがちな都市生活の中で、緑と食が人と人をゆるやかにつなぎ直しているのだ。
また、こうした小さな農は、都市のレジリエンス(回復力)を高める存在でもある。災害時や社会不安の中で、地域に食と関係性が残っていることは、目に見えない安心につながる。
環境緑化は、単に緑を増やすことではない。
それは、未来の食卓を育て、暮らしの質を高め、人の幸福を耕す営みでもある。
日常のすぐそばにある小さな畑から、私たちの豊かな未来はすでに芽吹いている。

【緑の少ない墨田区だからこそ、すすめたい!食を通しての緑化】

密集した下町において、これ以上大きな緑地をつくることは難しい。
しかし、暮らしのすき間に「育て、食べ、語り合う緑」を生み出すことはできる。

  • 公園の一角・未利用帯(法面、遊休花壇)を小規模菜園化
  • 河川敷・親水空間に果樹・ハーブ中心の食べられる緑化
  • 空き家・空き店舗の軒先・裏庭の共有化

“1か所で完成形”を目指さず、点在型でOK
コミュニティ農園は、都市に残された数少ない「人が自然と主役になれる場所」である。
墨田区のような下町だからこそ、小さな畑が人をつなぎ、暮らしの質と幸福感を支える基盤になり得る。
緑化は、都市の装飾ではなく、暮らしを耕す行為である。

【すみだ環境共創区民会議 牛久委員】

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