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更新日:2025年11月25日
12月は「大気汚染防止推進月間」と「地球温暖化防止月間」で、すみだがわのたぬきがちょいと調べてみました。わたくし、建設業界に携わっていまして、特に自動車の排気ガスによる大気汚染については、なんとかせにゃいかんと今回のコラム担当に手を挙げました。みなさんも身近な問題として考えてみてください。
大気汚染の原因と地球温暖化
1.はじめに
私たちが生活する地球の大気は、人間の活動によって汚染されています。大気汚染は健康被害や環境破壊を引き起こすだけでなく、地球温暖化など地球規模の問題にもつながっています。大気汚染の主な原因物質であるNOx(窒素酸化物)『ノックス』とSOx(硫黄酸化物)『ソックス』を中心に、その原因・影響・対策について考えます。
2.大気汚染の原因
大気汚染の多くは、人間がエネルギーを得るために化石燃料を燃やすことから生じます。
(1)NOx(窒素酸化物)
自動車の排気ガスや火力発電所・工場のボイラーから発生します。高温燃焼の際に空気中の窒素と酸素が結合して生じ、光化学スモッグや酸性雨の原因となります。
(2) SOx(硫黄酸化物)
石炭や石油などに含まれる硫黄分が燃えることで発生します。これも酸性雨を引き起こし、降った酸性雨が森林、湖や建築物を劣化させます。
(3)CO2(二酸化炭素)
温室効果ガスの代表で、燃料の燃焼によって大量に排出されます。直接的に地球温暖化を進める原因となります。
3.大気汚染の影響
(1)地球規模の影響
CO2などの温室効果ガスが増えることで気温上昇が進み、異常気象や海面上昇などを引き起こします。
(2) 人体への影響
PM2.5などの微粒子は呼吸器に入り込み、喘息や肺疾患、循環器系への影響を及ぼします。また、NOxやSOxは目や喉を刺激し、長期的な健康被害を引き起こす可能性があります。
(3) 海水・河川への影響
酸性雨として降下した汚染物質は、海や川の水質を悪化させ、pHの低下により、魚類やプランクトンが生息しにくくなり、生態系のバランスが崩れます。
(4) 森林への影響
酸性雨は森林の土壌を酸性化し、栄養分の流出を引き起こします。その結果、木々が弱り、森林全体の再生能力が低下します。
(5) コンクリート・鉄への影響
酸性雨はコンクリートや鉄を腐食させ、建築物や橋梁の耐久性を低下させます。都市インフラの劣化を早め、維持管理コストの増加を招きます。
4.大気汚染の対策技術
(1)電子吸着技術
電子の力を利用して有害物質を吸着・除去する新技術。従来のフィルター方式に比べ、細かな粒子やガス状物質の除去効率が高く、省エネルギー化も期待されています。
(2)光触媒(酸化チタン)
酸化チタンには光触媒作用があり、太陽光を受けることでNOxや有機物を分解します。外壁や道路に塗布することで、空気浄化や防汚効果を得ることができます。
錦糸一丁目の工事現場では、酸化チタンを用いた光触媒パネルが仮囲いに使用されていました。太陽光を利用して大気中のNOxや臭いを分解し、環境に優しい“呼吸する仮囲い”として注目されています。

(3)多孔質コンクリート
表面に微細な穴を持つコンクリートで、雨水を通しやすく、粉塵やガスを吸着しやすい構造。都市の排水改善とともに、環境負荷低減にも寄与します。
5.私たちができる対策
(1)政府や企業の取り組み
クリーンエネルギー(太陽光・風力・水素など)の利用拡大
・工場や発電所への脱硫装置・脱硝装置の設置
・自動車の排出ガス規制の強化
・電気自動車やハイブリッド車の普及促進
企業は生産過程でのCO2排出削減や再生可能エネルギーの導入、省エネ技術の開発などに積極的に取り組んでいます。自動車メーカーでは電気自動車(EV)やハイブリッド車の開発を進め、製造業ではカーボンニュートラル実現を目指した工場運営を行っています。建設業では酸化チタン塗料や光触媒パネルなどの環境配慮型資材を採用する動きが広がっています。
(2)個人としての取り組み
・自動車の使用を減らし、公共交通機関を利用する
・電気やガスをこまめに節約し、省エネを心がける
・ごみを減らし、リサイクルを徹底する
・植樹や緑化活動に参加し、CO2吸収を促進する
私たち一人ひとりも大気汚染の軽減に貢献できます。自家用車の使用を減らし、公共交通機関や自転車を利用すること、省エネ家電の使用や節電、節水を心がけることが重要になります。また、地域の緑化活動に参加したり、環境配慮型製品を選択することで、身近なところから地球環境の改善に寄与できます。
6.まとめ
大気汚染(NOxやSOxなど)は、私たちの便利な生活の裏側で生まれる「見えない汚れ」です。これらは地域の大気汚染にとどまらず、地球温暖化など地球全体の問題にも関係しています。地球温暖化や健康被害、インフラ劣化など多方面に影響を及ぼす問題であるために電子吸着技術や光触媒技術などの新しい環境対策を組み合わせ、持続可能な社会を築くことも重要であります。
また、一人ひとりができる小さな行動を積み重ねることが、きれいな空と持続可能な未来を守る第一歩になるといえます。
【すみだ環境共創区民会議 大垣委員】
7.参考文献
国立環境研究所『酸化チタンの光触媒効果に関する研究』
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