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更新日:2025年3月10日
区内の企業経営者・人事労務担当者・テーマに関心のある方を対象に、これからの雇用(労働)契約の考え方、最近の労働法の改正内容などを御紹介するセミナーを開催しました。
概要
開催日時
令和7年2月13日(木曜日) 午後2時から3時30分まで
会場
すみだ共生社会推進センター ホール
対象者
区内企業経営者・管理職・人事労務担当者、テーマに関心のある方
参加者数
16名
講師
小川社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 小川 美玲 氏
講演
内容
ワーク・ライフ・バランスの対象者は?
最近ではワーク・ライフ・バランスというと、育児や介護等の家庭的事情を持っている方、ワーク・ファミリー・バランスをイメージする場合が多いが、雇用する全従業員が対象となる。
- 生産年齢人口の減少に伴い、女性や高齢者の雇用が重要になってくる。制度を整えることは会社を守ることになる。
労働契約は民法の契約に基づいている。
- 労働契約の基本原則
労使が対等な立場で「合意」に基づき、締結する。
- 労働契約の成立・変更
変更がある場合は必ず労働者の合意が必要。
- 労働契約の継続・終了
解雇は、客観的に合理的な(理に適う説明ができる)理由を欠き、社会通念上(世の常識)相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
従業員を採用しようというときには
求人広告に書く内容に気を付ける。
- 面接では
どんな条件で働いてもらうのかをきちんと説明!
- 採用したら
働いてもらう内容を書面にして渡す。電子でも可。
基本から近年の法改正
(1)有給
厚生労働省_働き方休み方ポータルサイト_事業主の方へ(外部サイト)(年次有給休暇の付与日数)
働き方改革で5日取得させることが義務付けられた。
取得させる方法
年休カレンダー方式:労使協定不要
計画年休:労使協定が必要
一斉付与方式:全従業員に対して同一の日に付与
交替制付与方式:班・グループ別に交替で付与
あらかじめ、規定に盛り込むなど
有給の理由を聞くのはNG?
理由を聞くこと自体は違法性なし
「言いたくない」と言っているのに執拗に聞くのは、ハラスメントに該当する可能性あり。
取得理由を言わない労働者には取得させない⇒労働基準法違反
嘘の理由で休んでも違法にはならない。(信頼関係の問題はあるが)
いつでも取れる=いつでも取れない、なので決めておく。
(2)最低賃金
毎年10月1日に改定。給与締切日に注意(10月1日をまたがる場合)
現在東京都は1,163円
(3)労働保険
労働保険:労働者1人でも雇用した場合は加入必要
雇用保険:週20時間以上働く労働者が1人でもいる場合加入必要
⇒令和10年10月より週10時間以上に変更
(4)パワハラ防止法
パワハラが定義された。
同じ言葉でも状況によって異なることを意識する。
会社がするべきこと(措置義務)
従業員を雇用する上で、措置を講じる必要がある。
従業員の安全に配慮する義務
- 社内方針の明確化と周知啓発
- 相談窓口の設置
- 迅速かつ適切な対応
- 不利益取扱いの禁止
(5)パート有期雇用労働法
同一労働同一賃金
会社に求められていること
- 不合理な待遇差の禁止(不合理:理屈に合わない、筋が通らない)
- 待遇に関する説明義務の強化
- 行政による履行確保措置及び裁判外紛争手続きの規定の整備
取り組み手順
STEP1 職務内容:責任の程度+業務内容(権限の範囲、ノルマの有無、不測の事態への対応の有無)
STEP2 職務内容・配置変更の範囲:仕事が変わるか、転勤があるか等
STEP3 その他の事情(労使の話し合いがあったか(例えば、正社員になる制度があるのに受けなかった。など))
(6)無期転換ルール
有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルールのこと。
契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に、契約期間が3年の場合、1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生する。
厚生労働省:無期転換ポータルサイト_事業主・人事労務の方向け(外部サイト)
「別段の定め」がない限り、直前の有期労働契約と同一となる。
(7)労働契約の変更
「合意」による変更は可能
会社側から一方的な変更は×
(8)高齢者雇用
高齢者雇用安定法で定めていること
- 定年を定める場合の年齢(定める場合は60歳以上)
- 高年齢者雇用確保措置(65歳までの雇用義務確保)
(1)定年の引き上げ
(2)定年制の廃止
(3)65歳までの継続雇用制度の導入(給与等の労働条件は合意の上で)
第二種計画認定について
定年に達した後、引き続き雇用される「有期雇用」の期間には無期転換申込権が発生しない。
(9)育児介護休業法改正
- 令和7年4月・10月段階的に施行
多くの変更があるため人事担当は確認が必要
- 介護・育児共に拡充・新設
- 規定変更作業、個別通知・意向確認有
厚生労働省:育児・介護休業法について(外部サイト)
厚生労働省:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(外部サイト)
厚生労働省:育児・介護休業等に関する規則の規定例(外部サイト)
東京労働局:育児・介護と仕事の両立のための従業員研修特設ページ(外部サイト)
育児介護休業法の改正のポイント
- 子の年齢に応じた柔軟な働き方の実現に向けた措置の拡充
- 育児休業取得状況の公表義務拡大
- 次世代育成支援対策の推進・強化
- 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化 など
少子化対策として、第1子の育児に父親が積極的に参加した場合第2子以降が産まれやすいというデータがある。
育児介護休業法改正の主な内容
- 所定外労働の制限(残業免除)の対象が小学校就学前の子まで拡大
- 3歳に満たない子の養育のためのテレワーク導入が努力義務化
- 子の看護休暇の見直し(小学校3年生修了までに延長され、感染症に伴う学級閉鎖・入園学校法人式、卒園式にも利用可能)
- 従業員300人超の企業に対する育児休業取得状況公表義務化
- 従業員100人超の企業に対する次世代育成支援対策推進法の行動計画策定時の育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定義務化
- 介護に直面した旨の申し出をした労働者に対する両立支援制度等に関する個別の周知・意向確認
介護に直面する前の早い段階(40歳等)の両立支援等に関する情報提供や雇用環境の整備(労働者への研修等)の義務化等(従業員に厚労省作成の動画を見てもらう など)
- 3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現する為の措置
以下の5つのうち、2つ以上
(1)始業時刻等の変更
(2)テレワーク等(10日以上/月)
(3)保育施設の設置運営等
(4)就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)
(5)短時間勤務制度
事業主が選択した措置について労働者に対する個別の周知・意向確認措置の義務化
- 妊娠・出産の申し出時における仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化
(10)フリーランス新法
「取引の適正化」「就業環境の整備」
公正取引委員会:フリーランス特設サイト(外部サイト)
厚生労働省:フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ(外部サイト)
- 第12条募集情報の的確表示義務
採用の労働条件の提示と同じ。
- 第13条育児介護等と業務の両立に対する配慮義務
6カ月以上の期間で行う業務委託について:義務
6カ月未満の期間で行う業務委託について:努力義務
- 第14条ハラスメント対策に係る体制整備義務
セクハラ・マタハラ・パワハラ行為を防止するための環境整備
不利益取扱いの禁止
相談窓口(相談したことによって不利益になるのは×)
- 第16条中途解除等の事前予告・理由開示義務
発注者が契約を途中で解除する場合、原則として30日前までに予告すること。
- 第17~26条
フリーランス新法に違反する事実があると考えるフリーランスは公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省に対して申し出ることが出来る。
申出を受けた行政機関は、必要な調査を行い、発注事業者に対して指導・助言のほか、勧告を行い、勧告に従わない場合命令・公表をすることができ、命令違反には、50万円以下の罰金に処されることもある。
厚生労働省:両立支援等助成金(外部サイト)
厚生労働省:業務改善助成金(外部サイト)
厚生労働省:65歳超雇用推進助成金(外部サイト)
東京都・公益財団法人東京しごと財団:魅力ある職場づくり奨励金(外部サイト)
墨田区:人材確保・定着支援補助金
墨田区:就業規則整備補助金
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このページはすみだ人権同和・男女共同参画事務所が担当しています。