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【取材記事】「誰ひとり取り残さない、人にやさしいデジタル化」を目指して

ページID:487527753

更新日:2023年9月25日

 コロナ禍の影響もあり、情報伝達や生活利便性を高める手段としてのSNSの役割がますます高まってきています。高齢者がデジタル機器やサービスを活用することができ、豊かな生活を享受できることはとても大切です。令和4年度からスタートした「高齢者デジタルデバイド解消事業」(高齢者へのスマートフォン操作についての講座や相談対応事業)は、区民の皆さんに好評を得ています。この事業概要について、主管部門である高齢者福祉課の中島応治さんと渡邊圭悟さんにお話を伺いました。(2023年2月取材)

アップご夫妻
講習会でのアドバイス風景

 
―――この事業の目的について、教えてください。
  ■中島:コロナ禍を経て、「人との接触を避ける」オンラインでのサービスの利用拡大が求められ、社会全体のデジタル化が進められる中、デジタル技術を使いこなせる方々とそうでない方々の「デジタルデバイド」の解消が需要な課題となっています。
 一方で、高齢者の方のスマートフォン保有率は、令和4年墨田区住民意識調査によると、60代では男性87.9%、女性93.4%、70代では男性65.4%、女性60.8%となっていますが、「スマートフォンを持っていても使い方が分からない」という声が届きました。
このため、高齢者福祉課としては、スマートフォン講習会や相談会を実施し、スマートフォンの基本操作等を習得していただくことで、高齢者のデジタルデバイドを解消することを目的として、基本計画に掲げられている「誰一人取り残さない人に優しいデジタル化」を推進しています。
 

講座全体風景
講習会風景

 
―――事業の具体的な内容を教えてください。
■渡邊:令和3年度は、実証実験として墨田区老人クラブ連合会の役員10名を対象に「一般的なスマートフォンの使い方講習会」を実施しました。その結果、「日常生活でスマートフォンを使う機会がない人は、せっかく学んでも使いこなすのが難しい」ことが、課題として明らかになりました。
 そこで、令和4年度からは、この課題を解決するために、老人クラブと民間の習慣化アプリ「みんチャレ」を活用した講習会を実施することにしました。すでにつながりのある老人クラブというコミュニティを活用することで、講座後も互いに教え合ったり、LINEグループを作成してつながったりすることが可能です。さらに、スマートフォンを使い慣れてきた先輩受講生が、講習会補助員(スマホサポーター)として、教える側、アドバイスする側に回っていただくことで、手厚いサポート体制を組むこともできます。
 今回活用した「みんチャレ」は、ダイエット・勉強・筋トレ・生活習慣の改善など新しい生活習慣を身につけたい人が5人でチームを組み、チャットで励まし合いながら、自身の進捗内容や写真を投稿して、チャレンジを続ける「三日坊主防止アプリ」です。このため毎日、文字入力、カメラ機能を利用することでスマートフォンにも慣れていきます。講座参加者48名に「みんチャレ」に参加してもらうことで、スマートフォンの継続した利用に結び付けることができました。今年度の結果として、みんチャレ開始後90日間のスマートフォン利用継続者は43名で、継続率89.5%と高い数値となっています。
 
―――みんチャレ講習会の後も新しい工夫をしたようですね。
■渡邊:9月に「みんチャレ」の講習会を通して基本操作を習得した後、参加者が「みんチャレ」を継続して使うことでスマートフォンの習熟度を高めました。さらに、3か月後の12月には、情報経営イノベーション専門職大学(以下「iU」という。)の学生さんたちによるLINE・インターネット・PayPayの使い方を学ぶ「スマートフォン講習会」を実施しました。参加者のLINEグループに配信した花の写真とヒントをもとに、検索をして花の名前を当ててもらうクイズやLINEグループを使った避難訓練など高齢者が楽しく学べるように、iUの学生さんたちがいろんな工夫をしてくれました。また、PayPayの使い方については、実際にコンビニエンスストアに出向いてキャッシュレス決済を体験してもらいました。
 


コンビニでの実践研修
コンビニでの実践研修風景

 
―――他区でも同様の事業があると思いますが、本区の特徴を教えてください。
■中島:特徴は、3点あります。
 1点目は、地域の老人クラブとの連携です。墨田区の老人クラブに加入している高齢者は、区内高齢者の約18%(約1万人)と都内最大の組織率を誇っており、このネットワークを活用しています。
 2点目は、区内にあるiUとの連携です。iUは、デジタル技術に強いだけでなく、地域の課題解決にも積極的です。学生のみなさんにスマートフォン講習会のサポーターとして参加してもらうだけでなく、講習会の企画にも参画してもらいながら、世代間交流も図っています。
 3点目は、スタートアップ企業との連携です。ソニー出身者が立ち上げた「A10 Lab(エーテンラボ)」というスタートアップ企業と連携し、同企業が開発をした習慣化アプリ「みんチャレ」を活用し、講習会に参加した老人クラブの方々がスマートフォンを楽しみつつ、習慣化できることを目標にしています。 
 


  

講座でのアドバイス風景
個別アドバイス風景

 
―――現状の課題や令和5年度の取組を教えてください。
■中島:まず、先輩受講生が、講習会補助員(スマホサポーター)として教える側、アドバイスする側に回っていただくことで、講習会での手厚いサポート体制を実現したいと考えています。さらに、先輩受講生が、老人クラブの他の会員さんたちに教えることができるようになる「地域での自走化」に結びつくように伴走していくことが、今後の課題となります。
 また、高齢者もスマートフォンで使いたい機能は一人ひとり違うため、個別相談も必要です。いつでも気軽に相談できる体制もつくっていきます。現在、区では月1回程度、区内公共施設でスマートフォンの相談会を実施することに加え、昨年10月から本年3月までの期間において、都の事業を活用して、毎週木曜日に区役所1階で同様の相談会を実施しています。他区と比べても、利用率が高いとの評価をいただいていますので、令和5年度も、引き続き区内公共施設等での相談窓口(デジタル茶房)を設置していきますので、高齢者の皆さんに気軽に利用してほしいと思っています。

 なお、令和5年度予算プレス発表では「LINE区公式アカウント」も導入されるということですが、相談窓口においては、高齢者が区政におけるデジタル化に乗り遅れないように、「LINE」や「キャッシュレス決済」などについて、使ってみたい高齢者が使えるような支援を行っていきたいと思います。

 

―――渡邊さんは入庁2年目ということですが、デジタルデバイド解消事業を通じて行政マンとしていろいろな経験をされていると思います。この事業を通じて、どのようなことを学ぶことができましたか。
■渡邊:昨年は、課題の発見や地域力を活かすのためのスキーム作りに注力しました。老人クラブ、iU、民間企業や庁内関係者などに協力をしていただくなかで、人との接し方、話し方、名刺交換など社会人としての基本を再認識することができました。また、民間企業との契約手続、会計手続など事業を成立させていくために必要なプロセスも学ぶことができました。さらに、100自治体以上が参加する研究会に参加し、事業成果を発表する機会を得ることができ、緊張はしましたが得難い経験でした。最後にもう一つ、内閣官房の取組である「冬のDigi田(デジデン)甲子園」のインターネット投票にノミネートされました。結果が出るのは、もう少し先になりますが、現在、全国172件の応募の中から46件に選定をされ、とても嬉しく思っています。
※内閣府デジタル田園都市国家構想実現会議事務局発表によると、インターネット投票で7位、審査員投票で9位という結果でした。
 


高齢者福祉課職員の中島さんと渡邊さん
担当職員の渡邊さん(左)と中島さん(右)

 
■中島:渡邊さんの仕事ぶりを見ながら、「ひとつの事業が、ひとりの職員をこれだけ成長させることができるのか」と改めて実感しました。特に、スタートアップ企業との調整、政策課題調書の作成、予算プレス資料の作成など、入庁2年目ではなかなか経験できないことも経験できており、渡邊さんの今後の活躍が、本当に楽しみです。
  ―――ありがとうございました。
 


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