報知新聞社は、令和4年6月、創刊150年を迎え、東京本社を港区港南から墨田区横網の国技館横に移転しました。この機に「これからの150年間を地域の皆様とともに」との想いをもって、自主事業として「地域コミュニティ季刊紙『すみだ報知』」を発行いただいています。
令和4年5月の創刊号を皮切りに、現在9号(令和7年1月号)まで発行されています。この間の特集記事は、東京本社の両国移転ご挨拶から始まり、「銭湯のまち」、「駄菓子屋さんのあるまち」、「隅田川花火大会」、「映画のまち」、「芸妓のまち」、「スカイツリー映えスポット」、「ドラマ撮影の聖地」、「落語のまち」とすみだの特徴や魅力を絶妙にすくい上げています。さらに、地域のニュース・スポーツ活動、足で稼いだまち歩き情報、墨田のゆかりの著名人インタビューなどバリエーション豊かで、決して飽きさせない記事構成で、すみだを立体的に表現していただいています。
ビジュアル的にも墨田区在住の版画イラストレーター・森英二郎さんによる描き下ろしを使ったインパクトのある1面、スポーツ新聞ならではの大胆なレイアウトや見出しなど毎号たくさんの読者が楽しみにしています。
さらに、掲載された皆さんには、嬉しくてモチベーション上がりまくりです!
そこで、『すみだ報知』発行の経緯や取材方針等について、報知新聞東京本社佐々木良機さんと堀北禎仁さんにお話を伺いました。
(2025年2月取材)

報知新聞社 堀北禎仁さん

報知新聞社 佐々木良機さん
――「すみだ報知」は、どんな媒体ですか? ■佐々木:墨田区内のニュースに特化した「地域コミュニティ季刊紙」です。1面の前文には毎号「今号もすみだのまちのスポーツ・文化・芸術情報盛りだくさん、てんこ盛り」と入れるようにしています。報知新聞社は日刊紙「スポーツ報知」を発行する新聞社なので、やはり、得意分野である「スポーツ」「文化」「芸術」情報を中心にお伝えしたいと考えています。 ーー発行のタイミングを教えてください。 ■堀北:季刊紙なので、当初は春夏秋冬の年4回発行して、季節ごとのすみだのまちを伝えようと考えました。ただ、両国という場所は、相撲開催月には毎回お正月のようなにぎわいがあって、区外からもたくさんお客様がいらっしゃる、ということもあります。そのタイミングにあわせて発行した方が、より、報知とすみだのまちを知っていただけるのではないか、という考えから両国での相撲開催に合わせた1・5・9月年3回になりました。 ーーどんなところで手に入れることができるのでしょうか。 ■堀北:墨田区全域と台東区・千葉の一部の読売新聞販売店(YC=読売センター)に折り込んでもらっています。 墨田区役所では、1階ロビーを始め、広報広聴担当・観光課・墨田区商店街連合会の窓口に置いています。そのほか、区立小中学校、墨田区観光協会、両国観光案内所、ひがしんアリーナ(墨田区総合体育館)、区内図書館など区関連の施設、銭湯、両国エリアのホテルなどに64,000部を配布・配置いただいています。関係する皆さんとのご協力が不可欠でしたので、大変感謝しています。 ーーなぜ、このような「地域コミュニティ季刊紙」を発行しようと思われたのですか? ■佐々木:弊社は、令和4年6月、創刊150年を迎え、東京本社を港区港南から墨田区横網の国技館横に移転しました。移転に際して、いろいろなプロジェクトが発足しましたが、その中に「地域貢献部会」が設けられ、移転を機に「これからの150年を地域の皆様とともに」との想いをもって、弊社の事業資源を生かせる「地域紙」を発行することとさせていただきました。 |
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インタビューを受ける様子
――毎号興味深く読ませていただいていますが、紙面づくりで大切にしていることはなんですか? ■堀北:紙面づくりで、一番大切な要素は良いネタがあるかどうかです。すみだのまちは、良質・上質の「ネタ」の宝庫ですね。東京スカイツリー、大相撲、隅田川花火大会といった皆さんご存じの魅力はもとより、すみだ北斎美術館、すみだトリフォニーホールと新日本フィルハーモニー交響楽団、江戸切子・花かんざし・屏風等々、江戸から続くものづくりと魅力にあふれています。さらに、まち角で出会う多様な銭湯、懐かしい匂いのする商店街、風情のある珈琲店、など紹介したいネタに事欠きません。 ■佐々木:スポーツ紙が得意とする「スポーツ」「文化」「芸術」情報を中心にお伝えしたいと考えていますが、そのすべてに共通するのは、それらに携わる「人」です。それぞれで輝く人たち、それだけではなく、まだ、光のあたっていないような人たちも伝えたい、という想いがありました。スポーツ紙は、まさにその「人」にまつわる「人間ドラマ」を伝えるのは得意としていますので、すみだのまちを通じて、そういったものをお伝えできればと思っています。 ■堀北:エポックなテーマに焦点をあてた特集記事、区ゆかりの人へのインタビューをはじめ、祭り・イベント・飲食店・区内で活動するスポーツ紹介など、このまちの豊富な「ネタ」を活かして編集しています。記事づくりにあたっては、「一人ひとりの心に刺されば良い」と思い定めて書くようにしています。たった一人でも誰かに刺されば、必ず、そこから広がっていくと信じています。神戸出身の私は、阪神・淡路大震災に被災し、自宅や思い出深い場所を失ってしまいました。ネットでかつての画像を探してもあまり出てこない状態です。墨田区も関東大震災や東京大空襲でまちが壊滅した歴史があります。喪失感の中で、今住んでいる墨田のまちの魅力をキチンと記録しておきたいとの想いを大切にしています。 |
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紙面を説明している様子
――大胆に、版画イラストをメインビジュアルに続けたことで、すっかり「すみだ報知」の顔になっていますね。 ■佐々木:最初は反対もありましたし、勇気のいる決断でした。新聞らしく、創刊号のときは、終面の王さんインタビューを1面にすべき、という意見もありました。ただ、それではこれまでのスポーツ報知と変わらない。インパクトもない。かつての創業時の報知新聞社が錦絵で残されていることを知り、何か絵などで弊社の新社屋を後世に残すことができないか、と調べていたところ、墨田区在住の方で、版画イラストという珍しいジャンルの作品を描いている版画イラストレーターの森英二郎さんを見つけ、早速会いに行きました。大きなハードルは「阪神ファン」であることでした。ただ、熱意をお伝えし、ライバル球団の巨人と関係の深い弊社にご協力いただけることになりました。東京・墨田区の地域紙なのに、関西弁バリバリのコラムというのも、とても魅力的でインパクトがあると、私自身が魅了されました。 ――本区との関係性づくりで大切にされていることはありますか? ■佐々木:私は、取材記者あがりなので、取材対象との関係構築ということについては失敗もたくさんあり、人に限らず、野球チームなどのスポーツ組織、団体等の信頼関係の構築というのは、一朝一夕でできるものではないと考えています。例えば、「何かネタが欲しい」とか「情報を提供してもらいたい」と思えば、それより先に、自分が思う以上に「相手に貢献する」「何かをしてさしあげる」ことが大切、しかも、それを、嫌々、仕事と思ってやるのではなく「相手に喜んでもらいたい」「笑顔になってもらいたい」という想いが根底にないと、なかなか難しいというのが持論です。なので、皆さん方から「こんなことがあるけれど」と情報を共有いただいたものは、実際にありがたく、できる限り足を運んで、話を聞いて、できればネット原稿などにして、地域紙だけでの紹介ではなく広く多くの方々に「伝えていく」ということを、こまめにしていきたいと考えています。 |
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原画

実際の表紙
――今後の課題や夢を教えてください。 ■佐々木:スポーツ報知のもつWeb媒体とのコラボを進化させていけないかと考えています。Webでの「すみだ報知」ページの開設、スポーツ報知SNSやネットプラットホームへの記事発信の強化などを模索してみたいと思います。また、落語会、版画イラスト原画展といったイベントを開催することで、読者・区民皆さんと直接会って、いろいろな声を聴くことも必要ではないかと感じています。そういった、新たな視点を増やす活動に取組むことで、区民や事業者の皆さん方とのより深い関係性づくりにつなげていきたいと思っています。 ーー今後も報知新聞社さんとの連携を大切にしながら、区民とのコミュニケーションを深めていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。 |
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第8号(2024年9月)の一面
創刊号:報知新聞129年ぶり 両国です!!(R4.5発行)
第2号:墨田区にこんな銭湯 あったんかい。(R4.9発行)
第3号:卯まい駄菓子が 墨田区にはある。(R5.1発行)
第4号:隅田川に花火が帰ってくる!!(R5.5発行)
第5号:すみだは 映画のまち(R5.9発行)
第6号:春の、うららの、芸妓さん。(R6.1発行)
第7号:朝起きて 窓を開けると スカイツリー!!(R6.5発行)
第8号:ドラマの世界へようこそ(R6.9発行)
第9号:すみだといえば 落語で笑~!!(R7.1発行)
特別記念号:東京商工会議所墨田支部 地域発展とともに50周年(R7.1発行)
特別号:すみだ×ムー×パラノマサイト FILE23 本所七不思議(R5.8発行)
号外1:フウガドールすみだ日本一(R5.7発行)
号外2:第38回わんぱく相撲全国大会(R5.7発行)
号外3:EAST TOKYO特集号(R5.11発行)
号外4:第18回両国にぎわい祭り開催!(R6.4発行)
号外5:第19回両国にぎわい祭り開催!(R7.4発行)