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【取材記事】すみだの福祉作業所の生産品をノベルティや記念品に~人つながる墨田区の福祉プロジェクト「すみのわ」~

ページID:509727179

更新日:2024年7月17日

 
 「すみのわ」は、墨田区発の地域連携型の福祉プロジェクトです。地域の工場から提供いただいた良質な端材なども活用しながら、福祉事業所の利用者さんのできることを活かした生活雑貨やアクセサリーなどの魅力ある自主生産品をつくる。焼き菓子などの商品パッケージをブラッシュアップし、商品価値を高める。それを、記念品やノベルティとして受注生産したり、お店や企業、文化観光施設と協力して販路を広げる。そんな地域との連携によって、福祉事業所に創造性のある仕事を生み出すとともに、働く利用者の工賃アップを目指している。
 
 地域連携型の福祉プロジェクトを区からの受託事業として10年間にわたって続け、着実な成果を上げてきている「すみのわ」の活動について、コーディネーターを務める三田大介さんにお話を伺った。(2024年4月取材)


コーディネーター 三田大介さん

 
――「すみのわ」をはじめるきっかけは何だったのですか?

■三田:区役所の所管部門から「福祉事業所の利用者がつくっている商品の開発にあたって、クリエイターの力を借りられないか」という相談を受けたのが始まりです。商品をより魅力的にすることで、付加価値を上げて働く利用者さんの工賃を上げるとともに、社会とつながるキッカケづくりをすることでモティベーション向上につなげたいとの想いでした。

――商品の柱の一つに地域の工場から提供いただいた端材を材料とした商品がありますね。
 
■三田:地方では、様々な農産物の生産やジャム、はちみつ、ジュースなどの加工品を商品化しているケースが多いのですが、墨田区にはそういった特産品がありません。一方で、本区には昔から日用品の製造工場がたくさんありました。革・繊維・紙・ガラス・薬品・ゴムなどその分野は多岐にわります。色も手触りも様々な工業製品の端材が生みだされます。「まち工場から提供いただいた良質な端材を材料として、すみだのオリジナリティを活かした商品づくりをしましょう」という提案をして、いろいろと試行しながら、資源循環にも貢献することができる今の形になりました。
 



――どんな商品があるのでしょうか。

■三田:カラフルなくるみボタン、牛革のケーブルホルダー、しおり、コースター、ポチ袋などイベントの記念品や販促活動のノベルティに使って広めていただいています。また、すみだトリフォニーホールでの福袋グッズや、すみだ北斎美術館ミュージアムショップでの限定商品も制作し、好評を得ています。
新日本フィルハーモニー交響楽団の創立50周年にあたっては、「BRAVO手ぬぐい」がメディアでも話題になりました。コロナ禍で声を出しての賛辞表現ができないということで、声を出す代わりに「BRAVO」と書かれた手ぬぐいを頭上に掲げる行為が一般に行われるようになりました。この商品開発については、新日本フィルから相談を受け、福祉事業所の利用者さんの描いた絵を支援クリエイターがアレンジして実現しました。
 

 
―――近年は、新しい取組も始まっていますね。
 
■三田:「BRAVO手ぬぐい」の他にも、利用者さんの描いた絵を活かしたティーバッグやオリジナルTシャツなど、区内商店や企業によるコラボ商品の販売が実現しました。また、クッキー、あげもち等の商品パッケージデザインも増えています。
観光案内所でのお土産品販売にあたって、「すもう」に関連したパッケージデザインへの希望が多いとのお話を聞き、利用者さんの書いた相撲取りイラストを施したパッケージを販売してみたところ、評判を得ています。
さらに販路の開拓も大切な役割を担ってきています。こういった活動を進めてきた結果、10年間の累計で16事業所のお手伝いをさせていただきました。

 

―――販路拡大も成果を出しているようですね。
 
■三田:この間の着実な活動が実を結んできており、特に最近は、販路の拡充が成果を上げてきました。イベント・委託等で販売するケースでは、錦糸町マルイ、錦糸町テルミナ、アルカキット錦糸町、イトーヨーカドー曳舟店、一軒家カフェikkAなど区内での展示販売会は勿論のこと、新宿マルイ本館、銀座伊東屋、コレド室町テラス、渋谷ヒカリエ、新横浜有隣堂、軽井沢焙煎所、三重県鳥羽一番街など東京都心や全国各地でのイベント販売・委託販売にまで広がってきています。
また、出店主体も「すみのわ」や地元福祉事業所単独だけでなく、他地域の福祉事業所や民間事業者との連携や様々な通販サイトでの販売も実現しています。
 


すみのわの商品

 
―――なぜ、こんなに販売先を増やすことができたのでしょうか。
 
■三田:スタート時は、区役所ロビー、各福祉事業所や福祉に関連した施設にお願いしての販売が主体でした。施設職員の皆さんも支援しているクリエイターも販路開拓については、専門キットですのでなかなか販路拡大につなげることはできませんでした。
まずは、すみだ北斎美術館、すみだトリフォニーホールなど区内の文化観光施設でも扱ってもらえるようになりました。当初は、販売に結びつくかどうか心配をしていたのですが、大変多くの方に購入いただいています。実際に販売してみると、美術鑑賞やコンサートに来場されるお客様は記念品を買われる傾向が強いこと、また福祉や社会貢献に関心が高い方々であることに気が付きました。
さらに、福祉事業所の職員の皆さんも自ら販売経験を重ねることで、商品展示・告知方法・当日のセールストークなど売り方のスキルが向上してきました。

 

―――区外の商業施設での販売も実ってきましたね。
 
■三田:区内の民間企業さんに販売先を紹介いただいたことが大きかったですね。民間企業さんが自社商品の販路拡大で、つながりのできた商業施設の方から「急遽売り場に空きが出たんだけれど、追加で販売できるものはないか」という相談を受けた際に、福祉事業所の商品を含めた「すみだのいいもの」として品揃えをし、提供したところ良い評判をいただきました。その後も、すみだの地域ブランドを紹介する「オレンジマルシェ」に混ざって出店させていただくことで、東京都心や全国各地へ販路を広げていくことができました。
また、墨田区と台東区の福祉事業所がコラボして互いの商品を、互いの地域の拠点で販売する取組である「すみ・たいプロジェクト」のように、他の地域と連携した取組も始めています。
銀座・日本橋・新宿・渋谷の有名店に商品が並んだということで、製作した利用者さんやそのご家族にも、とても誇りに感じていただいています。さらに、お隣台東区の浅草・上野などにも広げていけたら嬉しいですね。いっしょに創り上げた商品をお客様に購入していただける喜びと併せて、皆さんの誇らしい表情を見ていると、さらに頑張ろうという気持ちになります。
 


「すみたいプロジェクト」販売会の様子

   
―――売上や工賃は上がってきているのでしょうか。
 
■三田:各事業所からの情報によると、軽作業を中心とした受注業務は、コロナ禍以前の売上水準にまで戻り切れていないようです。一方で自主生産品については販路拡大による売上向上の効果等により、特に食品類は好調に推移しています。東京都の就労継続支援B型事業所の令和4年度の平均工賃は16,320円ですが、区内では、令和4度月に3万円を超える工賃に達した事業所もあったと伺いました。
 
―――今後の課題はなんでしょうか。
 
■三田:ようやく、スタートを切ることができた「すみ・たいプロジェクト」を活発にしていきたいですね。さらには、地域連携の輪をもっと広げていきたいと思っています。お互いの持つリソースを活かして販路を拡大するという直接的な効果は勿論ですが、商品開発・告知方法・商品展示・販路拡大など互いの工夫や頑張りを肌で感じることで、事業所の利用者さん、職員の皆さん、すみのわメンバーそれぞれに次へのエネルギーをもらえるなと感じています。
 

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