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更新日:2019年7月1日
取材日:2019年5月31日
担当者:産業振興課 河合
東日本金属株式会社(墨田区立花2-6-4)
高温で溶かした金属を型に流し入れ、冷やし固めて作る“鋳物”。この技術は鋳造と言い、ものづくりの根幹を支える基盤産業のうちの1つである。
このものづくりになくてはならない技術に強みを持った会社が、墨田区・立花にある。東日本金属株式会社だ。今回は、常務取締役・小林亮太さんにお話しを伺った。
常務の小林亮太さん。有限会社小林合金鋳造所は創業時の名残だ。
鋳造から加工・組立まで
1918(大正7)年に創業した同社は、主に細かい建築金物の鋳物を生産していたが、現在は、窓の金具部品やドアノブといった建築や船舶用の金物製造、重要文化財建造物などの部品復元を行っている。
目指すのは、丁寧なものづくり。より高品質・高精度の製品を作り上げるため、原料にこだわり、砂型を改良し続けている。さらに、一般的には、鋳造技術しか持たない鋳物屋が多いなか、同社は、鋳造製品に必要なプレス・メッキ等の加工や組立も一部内製化することで、鋳造製品を1個から、加えて一貫して作り上げることができ、顧客のニーズに柔軟に対応している。
溶かした材料を砂型に流し込む。
加工・組立場には、女性の姿も。
若い世代への継承
鋳造工場の環境は、室温が50℃近くまで上昇する過酷なものである。この日は、10kg以上ある砂型を何個も持ち上げ、湯くみで6kgもの真鍮を窯から汲み、何度も砂型に注ぎ込んでいた。決して楽な作業ではない。
また、型の隅々まで高純度の真鍮を流し込むためには、製品の大きさ・形状・厚さなどによって、真鍮の温度や容量を見極める必要がある。まさに職人の卓越した技術が求められ、一朝一夕で身につくものではない。
このように、鋳物屋は、人材確保や技術継承が難しい環境にあるが、ホームページ・パンフレットの一新、スミファ(外部サイト)への参加などを通じて、工場の暗く、閉鎖的なイメージを変えようと、小林さんは日々尽力している。現在、同社の従業員20人のうち、10人が20代・30代。小林さん自身も先代社長の祖父からその技術を叩きこまれた。鋳物を未来に残すため、その行動に迷いはない。
1,100℃まで熱した窯
鋳造工場は、千葉の醤油蔵を建物ごと移転させた。
同社パンフレット
ものづくりと想いが交差する場
2017(平成29)年2月に本社工場のすぐ近くにオープンした“鋳交Factory”。ここは、鋳造したあとの切削や研磨を行う加工工場である。この名称には、“鋳造技術と新しい機械が交わり、新たな交流や世代交代が生まれる工場”という想いが込められているという。
同社は、様々な背景から加工・組立を内製化してきたが、今も30以上の協力工場と連携しながら、丁寧なものづくりを心掛けている。創業から根差してきたすみだの地で、伝統的な鋳造技術とオートメーションの機械による先端技術を組み合わせた新たな取組を始めている。
鋳交Factory
最新のロボドリルが2台設置されている。
小林さん自身も職人集団パルティーレ(外部サイト)やフロンティアすみだ塾(外部サイト)に参加し、交流の輪を広げ続けている。そこには、小林さんのものづくりに対する熱い想いと地域への深い愛着、そしてチャレンジし続けるという強い覚悟が現れていた。
小林さん、お忙しいところ、ご対応いただき、ありがとうございました。
取材先情報
東日本金属株式会社
〒131-0043 東京都墨田区立花2-6-4
ホームページ:http://higashinihonkinzoku.com/(外部サイト)
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